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下竹田・北村
四良右門兼氏
しろうえもんかねうじ
この道祖神は、 山形村の中で、大池の頭領と並んで1.2を争う大きなものです。 石の向かって左端に「本州高遠住(すみ)石工(いしく) 四良右門兼氏作」と職人の銘が刻まれています。 江戸時代、信濃の国、高遠の石職人と言えば、 腕の良さはお墨付きで、日本各地で活躍していました。 「四良右門兼氏」も、そのうちの一人です。 自ら名を刻んだということは、 余程の、自信と誇りがあったのでしょう。 このように高遠の石工の名が刻まれた像は 松本平には4体のみで、学術的にも大変貴重なものです。 男神は、パンと張った額や、太い眉、大きな目、 ふくよかな耳たぶが若々しく、 いかにも幸せそうに、にっこりと微笑んでいます。 女神もまた、ふっくらとした頬や口元に あどけなさが残り、現代の美人にも通じるような なんとも可愛らしいお顔立ちです。 男神は少し足を開いて、正面を向き、 女神は足を揃えた立ち姿で やんごとなき若武者と姫君といった雰囲気です。 奥の手をお互いの肩に掛け合い、 正面で手を握り合っていますが、 指の組み方が、やや不自然で複雑な形をしています。 夫婦となったことが嬉しくて、握り合った手の中で 細やかな情愛を通わせているのでしょうか。 全体の大きさもさることながら、 彫刻としても大変見事です。 財力の示しでもあり、 当時の人々の流行や憧れが合わさった、 道祖神の傑作と言えそうです。