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小坂・下北沖
酒樽
さかだる
まず最初に、二人の神様の足元をご覧ください。 竹のたががかけられた大きな酒樽が見えますね。 この道祖神は、契りの盃を交わし合う祝言の場面を表したものです。 女神がお酒を入れたひさげを持ってひざまずいていることから 「跪坐祝言像(きざしゅうげんぞう)」と分類されます。 男神は、お酒がなみなみと入った盃を水平に保ちながら 一方の手を、女神の袖の中に差し入れています。 女神もそれに答えるように、奥の方の手を 男神の袖に差し入れています。 固めの盃を交わす間(ま)も惜しいほど、 お二人の情熱が盛り上がっている、 そんな風に見えませんか? 「中区(なかく)」と呼ばれる 丸い彫り込みがしっかりと深く彫られているため、 像の保存状態が大変良く、 紐の結び目や着物のしわの一本一本にまで 江戸時代の石職人の高い技術を確認することができます。 またこの像は、全体が、陽石(ようせき)の形をしています。 向かって左の側面に「大正12年10月改刻」とあることから もともと烏帽子型の自然石だったものを この時に、さらに強調した形に、手を加えたものと考えられます。 このような「跪坐祝言像(きざしゅうげんぞう)」は 安曇野発祥の道祖神であると言われており、 山形村には他にも「車屋美人」「袖中祝言」の2体があります。 ぜひそちらもご覧になってみてください。